個人のお客様向け

  • 相続関係

中央道・談合坂スマートICの開通案件04 ~7年間を振り返って~

談合坂エピソード④

<<中央道・談合坂スマートICの開通案件03

8.相続人がいない人、相続人が外国へ行ってしまい音信不通の人。どうする?

「相続人が誰もいない」というかたも何人か存在した。

そういった場合、相続財産清算人というかたを家庭裁判所に選任してもらい、そのかたが相続財産に関して管理処分していくことになる。大抵、弁護士さんがされており、司法書士が選任されていることもある。この事業を開始した時点ですでに相続財産清算人が付いている場合には、そのかたへ連絡を取り、通常の相続人の場合と同じように進めたが、すでにこの相続財産清算人が役目を終え、お仕事を終えてしまっていることもあり、この時は特別に家裁が許可して、この件についてだけということで、再度相続財産清算人が復活したこともあった(補償金が僅かだったせいもある)。

また、相続人一家が、何十年も前に海外へ移住してしまい、その国の領事館等関係機関で調べてもらってもまったく手がかりがつかめず、失踪状態であるというケースもあった。遺産分割協議ができなくて困ってしまう。

こういった場合では、家庭裁判所に不在者財産管理人というかたを選任してもらい、そのかたが失踪した相続人に代わって遺産分割協議を締結する、という方法を取った。これに関しては、こういった特殊な役目を引き受けてくれるかたがおらず、私と、弊所の職員と、私の友人の司法書士らが引き受けた。帰来時弁済型の遺産分割内容で合意した。具体的には「他の相続人が不在者のために法定相続分以上に相当する金銭を保持するが、不在者が戻った場合には代償金として支払う」という内容になる。

まぁ、とにかく、この518名も相続人が出現すると、色々な相続パターンに直面することになり、その都度「あぁこの国には、必ず何らかの手段が用意されていて相続手続きできるようになっているのだな。」と感心した。

 

9.甲府地方法務局大月支局との長きにわたるやりとり

法務局にはかなり相談をしたし、法務局のかたも相当大変だったはずだ。登記の件数は250件以上に及び、お付き合いも7年ほど続いたわけだから。

登記簿上の住所が「北都留郡大目村 小俣彦兵衛(地番なし、仮名)」などとしか書かれていない名義人が数名おり、確認してみると「昔、大目村の小俣彦兵衛(仮名)って言ったらこの人で通じたようだ。特定できていた。」という理由。昔は結構いい加減なところもあり、それで登記も通ったかもしれないが・・・現在、相続登記をする際、登記名義人である被相続人の登記簿上の住所と死亡時の住所の繋がりが取れる資料(住民票の除票や戸籍の除附票、ない場合に登記済権利証その他)を添付することになっているため、そういった資料が見つからず、困った。法務局に相談の上、上申書等で対応したが、役所の過去の資料等も特別に出していただき、添付した。

他に、持分割合の計算も非常に大変だった。兄弟姉妹からの相続や数次相続などが相次ぎ、何万分の何千(例えば、55,296分の2等)、という持分割合になってしまうかたも大勢いて、弊所でも職員が四苦八苦して分数の計算をした。これを基に補償金の支払われるわけで、しっかり計算をする。法務局も毎回相関図とにらめっこしながら検算が大変だっただろう。できる家系からちょこちょこ登記申請していき、相続登記、そして売買による所有権移転登記と、すべての登記申請が完了した時は感無量だった。(続く)

 

10.7年間を振り返って

司法書士仲間に話すと、一様に驚かれるが、大抵「ところで費用は?」と聞かれる。公共事業だし、相続人調査1名につき1万2千円(本人確認・相続関係図作成含む)、相続登記申請1件につき1万5千円でおこなっていた。通常の価格よりだいぶ安いが、当時は特に苦ではなく、よい経験を積ませていただいていると考えていた。

一族の歴史や人の想いが絡み合っているため、手続きにご協力いただけるようになるまで根気よくご協力をお願いすることもしばしば。例えば、当該土地のみならずほかの遺産含めて親の遺産分割協議は滞っている状況のなか、幼少期からのきょうだい間での不仲のため、協力したくないというかた。

また、高齢の相続人が認知症で、成年後見人を付けて遺産分割協議をしていただく必要があるところ、成年後見人選任申立てができないどうしてもの理由があると言われ、伺ってみれば、その年金で娘が生活をしており、後見人を付けることで年金が取り上げられることになりかねないので協力できないということも。

最後、どうしても遺産分割協議等や補償金の受領に応じられなかった6名の相続人に関してのみ、裁判所を利用した。成年後見人を選任することを拒否していた家族も、裁判所の手続きをするためにということで裁判所が許可した特別代理人を付けることで乗り切ることができた。それで相続登記が無事にでき、すべての案件が完了した。

2020年5月24日の開通当日は感無量だった。コロナ禍ではあったが、実際に通行しようと現地へ行った。

終わってから、ふと、NEXCO中日本担当者に、「大量相続人が出てしまうような土地があった場合、毎回こうした手続きをしているんですか?全国に道路を作っている会社さんですからほかの例を教えてください。」と聞いたところ、「そもそも共有者がたくさんいて相続登記が明治時代からストップしていたような場合、道路の設計から変更して、その土地上を通らないようにしますよ(笑)。だから、ここまで相続人が出て成功した例は、私の知る限り無いですね。」ということだった。

相続登記が義務化された理由は、全国に広く存在する所有者不明土地の解消であり、所有者不明土地発生の最大の原因は、相続登記が非常に困難な場合があるからである。放っておくと相続人は何百人にも膨れ上がり、取得できない証明書類も増え、迷宮入りしてしまう。司法書士ながら、それを身をもって知った7年間であった。

相続登記は、絶対に、はやめにしたほうがいい。(終わり)

拓実リーガル司法書士法人

相続・生前対策・会社法人登記などの豊富な経験とノウハウを持ち、他の事務所で断られてしまった案件や複雑な案件にも、親身に対応しています。
立川と新宿に2拠点を構え、23区内を中心に多摩地域、千葉、神奈川に対応。
初回ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

初回無料ご相談

一覧へ戻る

関連する

実績事例

一覧ページへ