その他業務
抵当権など担保権の設定・抹消登記
抵当権抹消登記とは?
不動産を購入する際、多くの方が住宅ローンを利用します。ローンを組むと、金融機関がその不動産に抵当権を設定し、返済が完了するまで権利を保持します。しかし、ローンを完済したからといって、自動的に抵当権が抹消されるわけではありません。
正式に抵当権を抹消するためには、「抵当権抹消登記」の手続きが必要です。
本コラムでは、抵当権抹消登記の基本から手続き方法、注意点について詳しく解説します。
抵当権抹消登記が必要な理由
住宅ローンを完済しても、抵当権が登記簿に残ったままだと、不動産を売却したり、新たに融資を受けたりする際に支障をきたす可能性があります。登記上の記録を最新の状態に保つためにも、速やかに抵当権抹消登記を行うことが重要です。
抵当権抹消登記の手続きの流れ 一日で申請可能
1. 必要書類の準備
抵当権抹消登記を行うためには、以下の書類が必要になります。
ご予約を取り、以下の書類を弊所へお持ちいただければ、当日に登記申請することも可能です(法務局が開庁している平日の17:00までに申請可能な状況であることが条件です)。
金融機関から受け取る書類
※金融機関から受け取った書類一式を司法書士にお預けください。
- 抵当権解除証書(または弁済証書)
- 登記識別情報または登記済証(権利証)
- 委任状(金融機関が手続きを司法書士に委任する場合)
- その他、金融機関の登記簿謄本などが付いてくる場合もあります。
不動産所有者が準備する書類
- 印鑑(認印で可、シャチハタ不可)
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証
- 住民票か戸籍の附票(所有者の住所が登記簿と異なる場合)
※登記簿上の住所地から現在の住所地までの繋がりが取れるもの。
※お引越し一回の場合は住民票で足りますが、複数回の場合は戸籍の附票が必要です。
※住民票は、マイナンバーの記載を「なし」でお願いいたします。
※司法書士が取得を代行することも可能です。 - 戸籍謄本(所有者の氏名が登記簿と異なる場合)
※氏名変更の原因と年月日が記載されているもの。
※司法書士が取得を代行することも可能です。
なお、抵当権抹消登記のほかに、住所変更や氏名変更している場合には、それらの登記も必ず必要になります。例えば、住所変更をしている場合には、住所変更登記と抵当権抹消登記の2つを連件で同時に申請することになります。
2.費用について
例えば、土地1筆建物1棟の戸建てに設定されている抵当権1本を抹消する場合の費用例(異なる場合もあります)。
司法書士報酬(消費税込み) | 17,600円★ |
登録免許税(不動産の個数2) | 2,000円★ |
事前登記簿謄本取得手数料 | 1,100円 実費662円 |
完了後の登記簿謄本取得手数料 | 2,200円 実費960円 |
郵送通信費 | 1,000円 |
実費などすべての合計で、約26,000円を見ておいていただく形となります。
住所変更登記や氏名変更登記が加わる場合は、上記費用の中の★印の部分が同額加算となります。
不動産の個数が3個以上だったり、抵当権の本数が複数あると、費用も増加します。
3.登記申請
必要書類が揃ったら、司法書士が法務局に申請を行います。
4. 登記完了の確認
申請から2週間程度で審査は完了し、お客様のお手元にはさらに1週間後に完了後の登記簿謄本や登記完了証などが司法書士事務所から郵送されてきます。
司法書士に依頼するメリット
抵当権抹消登記は、書類の不備や申請ミスがあると受理されないこともあります。何度も法務局へ足を運ぶことが面倒だということで、司法書士にご依頼されるかたがほとんどです。
- 確実に手続きを完了できる:書類の準備から法務局での申請まで、スムーズに対応。
- 時間と手間を省ける:平日に法務局へ行く時間が取れない方でも、司法書士に依頼すれば代行可能。
- 専門知識でトラブルを防止:登記に関する知識がない方でも安心して任せられる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 所有者が死亡して、団体信用保険に加入していたので住宅ローンが完済となり、抵当権を抹消します。その場合はどのような手続きの流れになるのでしょうか?
A1. 団体信用保険により住宅ローンが完済されると、金融機関が抵当権抹消手続きに必要な書類を発行します。具体的な手続きの流れは以下の通りです。
- 団体信用保険の手続き後、金融機関から書類を受け取る
- 所有者の相続による所有権移転登記と抵当権抹消登記、この2つを行っていくことになります
- 法務局への申請
相続の登記と抵当権抹消登記を連件で同時に申請することもあれば、まずは相続の登記をした後、後日抵当権抹消登記を申請することもあります。 - 登記完了の確認
相続登記と同時に手続きを進めることもあるため、まずは弊所にご相談ください。
Q2. 大正時代や昭和初期のころの古い抵当権(休眠担保権)を抹消したいのですが、どのような手続きになりますか?債務を供託するケースについても教えてください。
A2. 古い抵当権を抹消する場合、一般的な抵当権抹消登記よりも慎重な手続きが必要です。具体的な流れは以下の通りです。
- 登記簿謄本を確認
抵当権がどのように設定されているか、登記簿の記録を確認します。 - 関係者の所在確認
抵当権者(金融機関や個人)の所在を確認し、必要書類の取得を試みます。
既に金融機関が合併・消滅している場合、承継先の金融機関を調査する必要があります。 - 抹消のための書類を収集
抵当権解除証書(または弁済証書)
抵当権者の承諾書
当時の契約書(可能であれば) - 抵当権者が不明・消滅している場合の対応
債務がすでに完済されている証明を用意し、供託手続きや裁判所の許可を得る必要がある場合があります。
司法書士に相談し、適切な抹消方法を検討する必要があります。 - 供託手続きを利用する場合もある
債務が完済されているが、抵当権者が不明・連絡が取れない場合、供託手続きを行うことがあります。
法務局に申請する前に、供託所に一定額を供託し、その証明書を添えて登記申請を行う必要があります。
供託の手続きは専門的な知識を要するため、弊所にご相談ください。 - 法務局への申請
必要書類が揃ったら、法務局に申請します。
Q3. 根抵当権の抹消の場合は、普通の抵当権抹消とどのような違いがあるのでしょうか?
A3. 根抵当権と普通の抵当権では、抹消手続きの点でいくつかの違いがあります。
- 契約の性質の違い
普通の抵当権は特定の債務を担保するものですが、根抵当権は将来の借入れも含めて一定の限度額まで担保する仕組みです。そのため、抹消の際にはすべての債務が清算されているか慎重に確認する必要があります。 - 抹消のための書類の違い
抵当権抹消登記には通常、抵当権解除証書が必要ですが、根抵当権の場合は「元本確定請求書」または「確定証明書」といった書類が必要になることがあります。
また、債権者(金融機関)からの承諾書が求められる場合もあります。 - 手続きの流れの違い
普通の抵当権抹消は、ローン完済後に抵当権者(金融機関)から必要書類を受け取り、法務局に申請するだけですが、
根抵当権の場合、元本確定後に抹消手続きを行う必要があります。元本確定をしないと、継続的に担保として機能し続ける可能性があるため、慎重な確認が必要です。 - 手続きの複雑さ
根抵当権抹消は、一般的な抵当権抹消よりも書類の準備が煩雑な場合があります。そのため、専門家である司法書士に相談し、確実な手続きを進めることをおすすめします。
弊所では、根抵当権抹消のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
住宅ローンを完済した後は、速やかに抵当権抹消登記を行うことが大切です。手続きを怠ると、将来の売却や新たな融資の際に不都合が生じる可能性があります。司法書士に依頼すれば、確実かつスムーズに手続きを完了できます。
当事務所では、抵当権抹消登記のご相談を随時受け付けております。お気軽にお問い合わせください。