令和6年度休眠会社等の整理作業が12/10開始!みなし解散を回避するための重要な対策
令和6年度における「休眠会社等の整理作業」が開始しました。
12年間登記をしていない株式会社、いわゆる休眠会社や、5年間登記をしていない一般社団法人・一般財団法人は、「みなし解散」のリスクに直面しており、みなし解散とならないためには早急な手続きが必要です。
手続きをせず放置した場合、解散したものとみなされ、事業継続が困難になる恐れがあります。
今回は、休眠会社等の整理作業によるみなし解散について、制度の概要と用語の説明、放置するリスク、そしてみなし解散を回避するために重要な手続きを解説します。
1. 休眠会社等の整理作業とは?
そもそも「休眠会社等の整理作業」とは、会社・法人の登記事項について変更などの登記を一定の期間行っていない休眠会社を整理するための制度です。
昭和49年に第1回の整理作業がされ、第7回以降からは毎年度行われています。
これまでに約72万もの休眠会社等が職権で解散登記されています。
1-1.休眠会社等の整理作業の対象となる会社や法人
休眠会社等の整理作業の対象となる会社や法人は以下の通りです。
- 12年間登記をしていない株式会社
- 5年間登記をしていない一般社団法人・一般財団法人
対象となる株式会社、または一般社団法人・一般財団法人は、令和6年10月10日付けで管轄の登記所から通知が発送されています。
ただし、通知書が送付されていない場合でも対象の会社等である可能性があるため、注意が必要です。
1-2.通知書が届いていないのに、休眠会社等の整理作業の対象となる場合とは?
商号や名称を変更していたり、本店の所在地を移転していたりするにもかかわらず、登記簿上に変更を反映していない、つまり変更登記の申請を行っていない場合、通知書が届かない可能性があります。
設立以降、登記申請をしていない、または覚えていないといった場合は、一度登記簿を確認しておくと安心でしょう。
ご不安な場合や登記簿の取得方法が分からないといった場合は、登記の専門家である司法書士に相談することをおすすめします。
1-3.令和6年度の休眠会社等の整理作業
令和6年度の休眠会社等の整理作業はすでに開始されており、対象の株式会社、または一般社団法人・一般財団法人は、令和6年12月10日までに所定の手続きをする必要があります。
行わなかった場合、対象の会社等は登記官が職権で「みなし解散の登記」を行い、会社や法人は解散したものとして取り扱われます。
手続きを放置して、自動的に解散したものとみなされた会社や法人は、今後の事業の継続が困難になる恐れがあります。
まずは休眠会社等の整理作業の対象となっていないかを確認するようにしましょう。
2. みなし解散の影響とは?
みなし解散が成立すると、会社は法的に「解散」状態となり、通常の事業活動は行うことができなくなります。
また、会社や法人は解散後、会社は「清算会社」として法的手続きを進めなければなりません。
みなし解散となった場合、具体的な例として次のような影響が考えられます。
- 事業の停止
- 清算手続きへの移行
- 信用力の低下
- 事業再開の手続きが複雑化
2-1. 事業の停止
みなし解散が成立すると、会社は「清算会社」となり、清算をするためだけの会社として存続することになります。
つまり、これまで行ってきた通常の事業ができなくなってしまいます。
また、事業再開には、別途の手続きが必要となるため、簡単には事業を再開できなくなります。
2-2. 清算手続きへの移行
解散後、会社は「清算会社」として資産や負債の清算手続きを進めることが求められます。これには、従業員や取引先との契約解除、税務申告など複雑な手続きが含まれます。
また、清算が完了するまでには時間がかかることもあり、迅速に事業を終了させたい場合には手間とコストがかかる可能性があります。
2-3. 信用力の低下
解散手続きに進むことで、会社の信用力が低下し、取引停止や信用評価の低下につながるリスクがあります。
特に、取引先や金融機関との関係が重要な場合、みなし解散は大きな影響を与える可能性が高いため、事業を継続したい場合は早急に対応が必要です。
2-4. 事業再開の手続きが複雑化
解散後に事業を再開する場合、会社継続の登記を行うなどの複雑な手続きが必要になります。
通常の事業活動に戻るまでに時間がかかるため、事業をスムーズに再開できる保証はありません。
3. みなし解散にならないためには
事業を継続したい場合には、みなし解散を避けるために、適切な登記手続きを行うことが重要です。
3-1. 役員変更登記
株式会社の役員の任期は最長でも10年であるため、通知が手元に届いた時点で、少なくとも役員変更登記を懈怠していることになります。
そのため登記内容を最新の情報に更新する必要があり、役員変更登記を行うことで、会社が事業を継続していることを登記簿上で示すことができます。
3-2. 「事業を廃止していない」旨の届出
休眠状態であっても、事業を継続する意思がある場合は、「事業を廃止していない」旨を登記所に届け出ることができます。
この手続きを行うことで、みなし解散を回避でき、事業を維持するための最低限の手続きとして有効です。
ただし、「事業を廃止していない」旨の届出は、一時しのぎにしかなりませんので、届出をした後には、実態に合わせた登記手続きを必ずしなければなりません。
4. 事業廃止する場合は?
もし事業を廃止したいと考えている場合には、みなし解散を待つのではなく、自ら解散手続きを進めることが推奨されます。
自発的に解散手続きを行う場合、株主総会の決議に基づいて解散の意思を表明し、登記所に解散登記を行います。
解散の登記の後、速やかに清算手続きに入ることが可能です。
自発的な解散手続きにより、会社の清算結了を計画的に進めることができます。
5. 駆け込み手続きを避けるためにすべき3つのこと
すでに全国の司法書士事務所や登記所では、休眠会社等の整理作業に関する手続きが増加しており、みなし解散のリスクに気づいた会社が駆け込みで手続きを行うケースが増えています。
混み合うことで通常時より対応の遅れが予測されるため、早めの手続きが望ましいといえるでしょう。
みなし解散を回避するためには、今すぐ行動を起こすことが重要です。
5-1.まずは対象の会社、法人となっていないか確認する
まずは自社の登記簿と定款を見比べ、役員の任期は切れていないか、本店や目的、代表取締役の住所に変更はないか等を確認すると良いでしょう。
これらの事項に変更があったにも関わらず放置していると、みなし解散のリスクだけでなく、裁判所より登記懈怠による過料が課せられるリスクも背負うこととなります。
5-2.早めに手続きを進める
12年間登記をしていない株式会社や5年間登記をしていない一般社団法人・一般財団法人は、令和6年12月10日までに登記手続きを行わないと、自動的に解散扱いとなります。
期限を過ぎてしまうと、事業継続を希望していても、みなし解散の手続きが進行してしまい、再度事業を再開するためには時間とコストがかかります。
また、期限直前には駆け込みで手続きを行う会社が増えることも予想され、対応に時間がかかる可能性も否定できないため、できるだけ早めに手続きを進めていくことが大切です。
5-3.専門家である司法書士に相談する
期限が迫り、間に合うかどうか不安な気持ちをお持ちの方は、一度専門家へ相談してみることをおすすめします。
また、手続きが間に合わない場合、事業継続ができなくなるだけでなく、清算手続きが必要となり、再度事業を開始するためには複雑なプロセスを経ることになります。
自分自身で事業再開の手続きを進めていくには、時間とコストを多く消費してしまうかもしれません。
スピーディーに手続きを進めていくためにも、会社、法人登記が得意な司法書士へ相談するようにしましょう。
6.みなし解散になってしまった場合には
期限に間に合わず、会社や法人がみなし解散となってしまった場合、以下の手段が考えられます。
- 会社継続のための登記を申請する
- 事業を終了し、清算手続きに入る
ただし、どちらの手続きも通常の役員変更といった登記よりも時間とコストがかかる場合が多いといえます。
6-1.会社継続のための登記を申請する
みなし解散の登記が入ってしまった場合には、3年以内に限り、会社継続の登記をすることにより会社を以前の状態に戻すことが可能です。
しかし、みなし解散における会社継続の登記には通常の登記より多額のコストが発生するケースが大半です。
それを避けるためにも、定期的に自社の登記事項に変更がないかをチェックし、変更がある場合には速やかに、現状に即した登記手続きをすることが大切です。
6-2.清算手続きに入る
みなし解散後、会社は「清算会社」となり、清算手続きを進める必要があります。
関係各所との契約解除、税務申告などの手続きを含み、完了まで時間がかかることが予測されます。
また、手続き面以外にも物品の処分といったさまざまな手間やコストがかかります。
まとめ:事業継続を希望するなら、今すぐ登記手続きをスタートさせましょう!
令和6年12月10日までに必要な登記手続きを行わないと、会社や法人は自動的に解散扱いとなり、事業を継続できなくなるリスクがあります。
事業継続の意思がある場合、登記内容を最新に保ち、現状に即した登記、もしくは「事業を廃止していない」旨の届出を行うなど、速やかに対策を講じることが重要です。
司法書士は登記手続きのプロフェッショナルであり、迅速で確実な手続きをサポートします。みなし解散のリスクに直面している会社や法人は、ぜひお早めにご相談ください。
時間は限られていますが、迅速に対応することで、事業を継続するための道を確保できます。
初回相談は無料ですので、お気軽にメールや電話、お問い合わせフォームからご連絡くださいませ。